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在宅医療 在宅ホスピス 医療法人 徳島往診クリニック 吉田大介 徳島県 徳島市八万町新貝56-28 088-668-7318

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在宅医療とは

自宅で定期的に医師の訪問を受け療養することを在宅医療といいます。
そして末期がんの方がご自宅で専門的なケアを受けることを在宅ホスピスといいます。
自分の家を医療の現場とする事は、単なる場所の違いだけではありません。
環境に始まり、生活習慣、人間関係などを含む、自分の生き方そのものが、その空間にはあるのです。

もし自分に療養が必要となったとき、よりよく生きるためにどのような医療を必要とするか
その手段の一つが在宅医療なのです。
介護される方はご家族の負担に気を遣い、また介護する方も十分な介護ができるか不安になるものです。
当院は、介護の基本から在宅医療の生活、関係者の精神面に至るまで、総合的に受け止め全力でサポート致します。

サービス内容

  • 健康管理や日常生活のお世話。
  • 医療機器の管理や、医師の指示による処置。
  • ご自宅での看取りの援助。
  • 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問リハビリ、飲み込みの練習等。
  • ご家族への介護方法の指導や助言。
  • 介護認定の申請。
  • 居宅サービス計画作成と各サービス事業者との連絡や調整。
  • 介護サービスや住宅改修、福祉用具などについての相談。
 

在宅医療・介護の内容

<医療保険制度を使って>

・ご自宅での診察

徳島往診クリニックでは、曜日と時間を決めご本人のご承諾をいただいた上で、定期的な訪問診療を行います。24時間・365日体制で医師・看護師が急なことに備えており、不安な時はいつでも直接電話でお話出来ますからご安心下さい。症状に応じて、医師の往診あるいは看護師の緊急訪問がいつでも受けられます。日曜や夜間でもお薬(緩和ケアに必要な医療用麻薬等を含め)をご自宅まで届けてくれる調剤薬局もご紹介致します。

・入院について

在宅療養中でも入院の必要やご希望が生じた時には、提携病院にご紹介し緊急入院先を確保致します。また在宅医療を受けていても、定期的に大きな病院の専門医を受診し、CT・MRI検査等のご自宅では不可能な検査を受けることに医療保険上問題はありません。

・在宅医療でできること

徳島往診クリニックでは患者様宅で次のような医療行為が可能です。

  • 点滴・静脈注射・中心静脈栄養法(IVH)
  • 経管栄養法(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)
  • 在宅酸素(HOT) 在宅人工呼吸器気管 カニューレ 痰の吸引
  • 人工肛門・人工膀胱の管理 
  • 膀胱留置カテーテル、腎ろう・膀胱ろう
  • 麻薬等を用いた疼痛管理

<介護保険制度を使って>

ご自宅での療養を良好な状況下で続けるために、最も大切なファクターは「介護力」です。だからといって、ご家族が介護の重圧を全て背負う必要はありませんし、決してそうしてはいけません。現在の日本の制度では「介護保険」や「障害者福祉制度」などを利用して、ご家族の負担を軽減することができます。難しく聞こえると思いますが、経験豊かなケアマネージャーやメディカルソーシャルワーカーがご相談に乗りますので心配はご無用です。例えば、訪問看護師やホームヘルパーさんに食事の支度や排泄、入浴などのお手伝いをお願いすることが出来ます。また、ご自宅のお風呂に入ることが難しい時は、訪問入浴サービスを利用したり、デイケア・デイサービスでの特殊浴槽の利用ができます。ご家族が介護に疲れてしまった時や旅行に行きたい時には、遠慮せずご相談下さい。レスパイトケアといって、短期間施設に入所することが可能です(ショートステイ制度といいます)。

<在宅での看取りについて>

当院ではご希望がある場合、ほぼ100%の方を最期までご自宅でお支えしご自宅でのお看取りのお手伝いをしています。詳しくは「旅立ち」をご参照下さい。

「旅立ち~ご自宅での看取りについて~」
徳島往診クリニック 院長 吉田大介

当院は在宅医療専門のクリニックで、患者さんの殆どは寝たきりあるいはそれに近い方です。最近は末期がんの方でも、入院ではなくご自宅で自分らしく生活しながら療養し、出来れば最期まで過ごしたいという方が増えてきました。そういった場合一番大切なのは、患者さんご本人が在宅療養を切望されること、そして次に大切なことはそのお気持ちをご家族が理解し、在宅療養を支えてあげることです。

自宅での看取りというと皆さん大変なことのように思われると思いますが、日本でも戦後すぐの頃は、8割以上の方がご自宅で最期を迎えられていました。それがだんだんと少なくなり、1970年代に病院死と自宅死の数が同じくらいとなり、現在ではご自宅で亡くなる方は12%程度になっています。今の時代の介護を担う世代の方は近親者を自宅で看取った経験のない方が多いため、益々ご自宅での看取りに対して身構えてしまうのだと思います。以下の文章で人が人生の最後にどのような過程を経て死に至るのかについてお話しし、ご自宅での看取りが決して困難な事ではないと知っていただきたいと思います。

まず最初に臨終の場に医師を始めとした医療関係者が立ち会う必要は無いということを知っていただきたいと思います。これは、つまり看取りはご家族だけで行って全く問題がないという事です。但し、死亡診断書を書けるのは医師だけですので、主治医・かかりつけ医という存在は必要です。かかりつけ医が亡くなる24時間前までに診察していれば、死後の診察無しで死亡診断書を書くことが出来ます。24時間以内の診察がない場合でも、死後にご遺体を検分し、元々の病気で亡くなったと判断できれば死亡診断書を交付できます。慌ててしまって、死後に救急車を呼んでしまうと救急隊あるいは搬送先の病院から警察に連絡が行って、検死になりかねません。これはご遺族にとって大変つらいことですので、必ず主治医・かかりつけ医にまず連絡をとるようにしましょう。

さて、いろいろな病気あるいは老衰で死期が近づいて来ますと、身体・精神面にいろんな変化が生じてきます。ある時期になると今まで出来ていたことが大変になったり、出来なくなったりします。座っていること、立ち上がること、喋ることすら億劫になります。精神的にも新聞やテレビに興味を無くし、自分の外の世界と関わりを持ちたがらなくなります。そうして自分の生涯を振り返り、自分の一生の意味や価値を問い直すようになってきます。時にはご家族すら遠ざけるようになり、まわりの方がつらい思いをされるようなこともあるでしょう。しかし、これはある意味自然なことです。無理に話しかけて会話を成立させようとせず、黙ってそばにいてあげることや手を握ってあげるなどのスキンシップの方が大切になります。また、眠っている時間が長くなり食事量も減ってきますが、そういった時に「少しでも動かないと」とか「頑張って食べないと元気になれないよ」といった声かけは禁物です。ご本人は以前のように動けるものなら動きたい、食べられるなら食べたいと感じているはずです。そこへさらにご家族からそういった言葉をかけられると、その期待に応えられないことで一層自責の念が強くなってしまいます。ご自宅でゆったりとした気持ちで生活を続けるためには、ご家族の理解が何より必要です。

食欲は病気の進行ともに徐々に低下し、食事量は減っていきます。体が死の準備を始めた時には自然な事なのです。末期がんの方は最後は何も受け付けなくなりますが、そういった方にIVH等の特殊な点滴で無理矢理カロリーを補給することは、今では否定されています。最後まで口から摂れる物を摂りたいだけ食べられればいいのです。お茶碗のご飯より、小さいおむすびにしたりおはぎやお赤飯なら食べられるということもあります。さらに進行すれば、簡単に吸収しやすい果物や甘いものを好むようになりますが、最後には水すら口にしなくなります。しかし、そうなっても大丈夫です。水やカロリーの出納は、健常人とは違っています。私の経験でも、約2ヶ月もの間、1日の水分がさじ数杯、食べ物はカステラの小片のみという方がいました。

食べられなくなると点滴をというご家族、そしてまた点滴を勧める医師もいます。しかし、手や足からの点滴は水分の補給にはなりますが、栄養分(カロリー)の補給にはなりません。また、そういった状態の方は元々栄養状態が悪く、特に血液中のアルブミンというタンパク質が減っています。アルブミンは血液の浸透圧を維持するものですので、これが減っていると点滴で入れた水分の多くは血管から漏れ出し、むくみや胸水・腹水になって余計に苦しくなります。点滴では否応なく水分が送り込まれますので、弱った心臓にも負担がかかりますが、口から摂る分には自然と調節が出来ているものです。それに元気な時と異なり、脱水状態のため末梢の血管に点滴の針を刺すことは難しく、また刺せても少し動いただけで漏れてしまいます。何度も針を刺される痛みの上に、動いて点滴が漏れないように体動に制限が加えられます。これでも、点滴を望まれますでしょうか?

寝たきりになり寝返りすら困難になると、手足を始めとする多くの関節に痛みが生じてきます。この場合は、少々痛がってもご家族の手で関節の曲げ伸ばしをしてあげましょう。痛いからと放っておくと関節は固まってしまい、耐え難い痛みを伴うこともあります。体を動かせないことによる「だるさ」に対しては、両手首や両足首を持って四肢を伸ばしてあげると気持ちいいようです。また褥瘡(床ずれ)を生じかけたら、直ちにケアマネージャーさんに連絡してエアマット等を準備してもらいましょう。

食べ物は摂れなくても、薬が飲めなくなったら大変では?と思われるかも知れません。お薬が飲みにくくなったら、主治医の先生やかかりつけの薬局の薬剤師さんに相談しましょう。錠剤はなるべく小さいものに。オブラートに包んで水に濡らすと喉に引っかかりにくくなります。粉薬は少量の水で練ったり、バナナやヨーグルトなどに混ぜてもいいでしょう。いよいよとなったら、坐薬や貼り薬に変更できるかもしれません。また毎食後3回となっていても、食事に関係なく飲める薬も多いものです。食べてないからといって、飲ませないというのではなく、食べてなくても飲んでいいか尋ねてみましょう。

水分が飲みにくくなった時に上手にお水を飲ませてあげるには、頭を支えて首を前に曲げ顎をひくようにします。顎が上がって首が反り返っているとむせやすくなり、ひどい時は吐いたりして誤嚥性の肺炎を誘発します。飲めないからといって、無理に水分を喉の奥に流し込むことはしてはいけません。コップは口の広いタイプで、縁が鼻にあたらないものにしましょう。お水をあげる目的だけなら、ストローをスポイトの様にして舌先に水をしたたらせたり、小さな氷片を含ませてあげるのもいいでしょう。また、レモンの小片やレモン水を口の中に含ませてあげると、唾液が出て口渇が軽減されます。

さらに脱水が進むと、血液中のナトリウムやカリウム値が異常になったりして意識障害が生じてきます。幻覚や幻聴が出現し、大声を上げたり無理に起き上がろうとしたりして、ご家族を驚かせます。こういった場合、急に呆けたんじゃないかとか頭がおかしくなったのではないかと心配されると思われますが、心配ありません。あまりひどい時は、向精神薬等を投与すれば安定します。
また意識がある程度しっかりしていても、多くの具体的な要求・意思表示を示すことは困難になります。話しかける場合は、はい/いいえで答えられる質問にして、ゆっくり話しかけてあげて下さい。

○臨死期

死がいよいよ近づくと体の機能を維持することが難しくなります。多くの場合血圧が低下してきますが、心臓が元気な間は血圧を上げるために心拍数が増え、血圧を何とか維持しようとします。心拍数は普通1分間で60~80程度ですが、こういった場合は一時的に150くらいまで増えることがあります。しかし、心臓が疲れるに従って心拍数も減少し、それとともに血圧も低下してきます。腎臓に行く血液が減少し、尿も出なくなります。そうして、心拍数が40以下になってくると多くの場合、血圧は測れない程に低下します。いわゆるショック状態となり、皮膚は冷たくしっとりと濡れたようになります。

呼吸にも変化が生じます。呼吸数は普通1分間に16~20回ほどですが、血液中の酸素が減ったり、酸性に傾くと一時的に1分間に40から50回までの頻呼吸になります。また呼吸のリズムも不整になり、速く呼吸していたのがだんだんと遅くなってまた速くなったり、しばらく無呼吸が生じたりします。さらに進むと、魚が口をぱくぱくさせるような感じになり、下あごをひいて呼吸するようになります(下顎呼吸)。

死前喘鳴といって、喉に痰がからんだようになりゼコゼコ音がします。そばで見ていると凄くつらそうですが、ご本人はもうあまり意識がありません。吸引器で痰(あるいは喉にからんだ唾液)をひこうとせず、首を伸ばし加減に顔を横に向けてあげるとゼコゼコという音も小さくなり楽そうになります。こういった状態になっても、五感のうち聴力は残っていると言われています。そばで手を握って、「そばにいるよ」「大丈夫だよ」と声をかけてあげて下さい。「頑張って」とかよりもいままでの感謝の言葉「ありがとう」とかの方が気持ちを落ち着かせるでしょう。さらに進むと頸動脈も触れなくなり、呼吸が浅くゆっくりと、さらにはとぎれとぎれとなりやがて止まります。呼吸が止まってもしばらくはまわりの状況を感じています。聴力は最後まで残っていますので、皆さんの声が聞こえていると思って、傍にいてあげましょう。

落ち着いたら主治医に電話をして下さい。医師が死亡確認して死亡診断書を書きます。ご自宅での死後の処置は訪問看護師さんがして下さる場合がありますが、最近では葬儀屋さんもご自宅での看取りに24時間いつでも対応してくれていますので、ご臨終が近づいた時に一度相談されておくのもいいと思います。